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【中本裕己 エンタなう】時流に乗らない男・土方歳三の美学を岡田准一が疾走 映画「燃えよ剣」

 司馬遼太郎が新選組を描いた傑作小説「燃えよ剣」が原田眞人監督により、55年ぶりに映画として蘇った。主人公の土方歳三を演じる岡田准一は、アクションの才を発揮して自ら殺陣を指導。疾走感あふれる娯楽大作に仕上がっている。

 武蔵国・多摩の農民だった土方は気性が激しく、イバラのように触れるとケガをする乱暴者「バラガキ」と呼ばれていた。会津藩主・松平容保(尾上右近)の命により、近藤勇(鈴木亮平)や沖田総司(山田涼介)とともに京へ上り、新選組を結成。倒幕派の剣客・岡田以蔵(村上虹郎)らを斬りまくり、芹沢鴨(伊藤英明)の暗殺など、裏切った仲間へも容赦がなかった。

 土方は恋仲のお雪(柴咲コウ)を見つめるより、名刀を品定めし、切っ先へ注ぐ視線の方が熱い。尊皇攘夷や大政奉還に揺れる時代の躍動感が、過多と思われるほどのセリフからほとばしる。オープンセットで再現した池田屋襲撃など派手に血しぶきが飛び交うチャンバラはスピード感にあふれ、幕末とはこれほどまでに痛みを伴ったのかと、ロマンとリアリティーの案分に酔った。

 土方は時流に乗る、思想信条の理屈をこねる、といったこととは一線を画し、ことあるごとに「形がよくねえ」とツッパリ続け、箱館戦争に倒れるまでサムライの美学を貫く。硬派な芝居の中、町人出身の密偵として活躍した志士・山崎烝を独自の早口でまくしたて怪演した村本大輔が笑いを誘う。公開中。(中本裕己)

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