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笠松で2000勝の調教師、伊藤強一さん「どの馬も勝たせたい」 生え抜きでは初 「地方が頑張れば競馬界全体の裾野広がる」 (1/2ページ)

 どの馬も勝たせたい-。岐阜県の笠松競馬所属の調教師、伊藤強一さん(62)は、中央競馬で芽が出なかった故障馬や気性の難しい馬と丁寧に向き合い、28年かけて地道に重ねた勝ち星が昨年、2000を超えた。記録が残る1973年以降、笠松競馬の生え抜きの調教師で初。「地方競馬が頑張れば、競馬界全体の裾野が広がる」と使命感をにじませる。

 騎手時代から46年間、常に馬のことを考えてきた。手塩にかけた馬の苦労話や思い出を語ると、職人気質の険しい顔がほころぶ。騎手らの馬券不正購入を巡る申告漏れ問題が発覚し、レースが中止になった今年1~9月も、自分には馬しかないと黙々と調教を続けた。

 浜松市生まれ。テレビの中の名馬「ハイセイコー」に憧れ、乗馬クラブで兄と遊んだ。下積みを経て17歳で笠松競馬の騎手としてデビュー。所属厩舎の厳格な調教師に馬の扱いを学び、勝ちたい一心で血統を覚えた。

 後に中央に移籍し、GI通算22勝を挙げた元騎手、安藤勝己さん(61)とは同世代でライバルだった。周りからは「いつも2番手の騎手」と言われた。負けるたび、闘志を燃やし反省を書き留めた。

 34歳で調教師に転身。地方競馬の馬が減る中で、中央競馬で活躍できなかった馬の再生を手掛けるようになった。「手間をかければ、地方で活躍する力を付けてあげられる」。口下手で営業が苦手な分、結果でアピールした。