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【ドクター和のニッポン臨終図巻】劇作家・評論家、山崎正和さん 弟の孤独死にも鋭い考察「不幸とか可哀想だとも思いません」 (1/2ページ)

 日本を代表する劇作家で評論家の山崎正和さんが、8月19日に兵庫県内の病院で亡くなりました。享年86。死因は、悪性中皮腫との発表です。我々の肺や胃腸や心臓は、表面を胸膜、腹膜、心膜などの薄い膜で守られています。この膜を中皮といい、中皮細胞にできた腫瘍が中皮腫です。稀ながんですが、死亡者はこの25年で3倍以上に増えています。

 中皮腫の発症原因として、アスベスト(石綿)暴露が知られています。軽くて加工しやすい天然鉱物繊維で、1970~80年代に断熱材として広く使われていましたが、2000年代に次々と健康被害が報告されるようになりました。アスベストを吸入してから中皮腫の発症まで約40年もかかります。そして中皮腫の死亡率が一番高いのは、私の地元・兵庫県。山崎さんは西宮市在住でした。

 大手機械メーカーの工場がある尼崎市で、多数の被害者が出ています。私も尼崎で今まで10人以上の中皮腫の人を自宅で看取りました。胸膜中皮腫は肺がんよりも緩徐(かんじょ)な進行なので、肺がんの人よりも長いお付き合いができます。新しい抗がん剤や手術法が日進月歩で研究されているので大いに期待しています。

 私は、山崎さんの熱心な読者ではありませんでしたが、その時代時代に、鋭い考察をされていたことは知っています。

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