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【ドクター和のニッポン臨終図巻】女性漫才師・内海桂子さん 長生きには「笑い」が不可欠 (2/2ページ)

 大正11年生まれの内海さんは、生まれてすぐに関東大震災に被災、その後は軍国主義が台頭し世界大戦へ…と、娘時代は、貧困と空腹の時代を過ごしたはず。だからこそ、食べることをとても大切にしておられ、Twitterにも美味しいものへのこだわりがちらほらと。

 江戸っ子で塩辛いものが好き、毎晩の晩酌も欠かせないと言っていた内海さんが、徐々に口から食べられなくなったのは、今年の初めのようです。しかし、1月12日には、こんな呟きも。

 〈お陰様で何とか97歳の誕生日に舞台に立てました。両親が駆け落ち先の千葉県銚子で私を生んだが何故か出生届を出さないまま半年が過ぎ、周りからミルクがもらえるよと言われて慌てて届け出たのが今日。同年9月の関東大震災で父親とは別れたままで顔も知らない。そんなんでも、97年間生き抜く事できました(原文ママ)〉

 そして最後の呟きは、4月14日。コロナ禍を憂うものでした。

 〈本当にどうやって暮らしを立てていくのだろう。まだまだ色んな手当てに届かない小さな店が沢山ある(同)〉

 たくさんの困難を乗り越えた内海さんの言葉は、どれも温かくて、含蓄があります。生き抜くためには、「笑い」が必要だと誰よりも知っていた方かもしれません。不安な今こそ、漫才を見て、笑いましょうよ。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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