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【ドクター和のニッポン臨終図巻】作曲家・筒美京平さん この曲も、あの曲も…「また逢う日まで」歌って追悼 (2/2ページ)

 在宅療養をしている方は、普段より食欲が落ちて元気がない、ぼんやりして様子が何かおかしいと感じた場合は、まずはかかりつけ医に相談をしてください。

 しかし誤嚥性肺炎を怖がるあまり、まだ食べられる力が残っているのに、ドロドロのミキサー食に切り替えてしまうことが施設や病院ではよくあります。場合によっては、胃ろうを勧められることもあるでしょう。しかし、御本人の「食べたい」気持ちを無視するのは、人間の尊厳を奪うことになります。咀嚼(そしゃく)運動をしなくなると、認知機能の低下も早まります。

 ですから、「人間は誤嚥する動物。どんなに気を付けていても、誤嚥性肺炎になるときはなる。だから、あまり怖がらないで美味しく食べてね」と、在宅患者さんのご家族にはいつもそうお話をしています。

 筒美さんはご自宅から旅立たれたということでしたから、在宅医療を受けながら、おそらく最期までお好きなものを口に出来たのではないかと想像しています。

 コロナ禍の影響で、今年は在宅患者さんを招いてのクリスマス会もできない年末となりそうです。僕はひとり、往診車の中で〈また逢う日まで〉を歌って過ごします。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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