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【ドクター和のニッポン臨終図巻】僧侶・タレント、織田無道さん 往生際が悪かったからこそ…欲望に忠実、チャーミングなお坊さん (2/2ページ)

 織田さんは、自分と同じがん患者を励ましたいと1年前にはユーチューバーデビューを果たしました。末期がんになった心境や、死後の世界についても赤裸々に語っていました。時には、大病院の対応に対して、強い批判を述べることも。そこにはもう、バブル的な生臭坊主の面影はありませんでした。

 「私は医学的にはとっくに命が終わっています。生きるって皆さん、なんだと思いますか? 我々にはもともと実体などないんです」

 「余命半年だ、3カ月だと病院で唸っている方、その辛さは十分にわかります。だけど自分の生命力をもう一度確認してください。私なんか水風呂入ったりしていますよ。気合入れて、とりゃー! って。はい、バカです。アホです。でもがんと直接向き合って、自分の生命力の方があるのだと信じましょう」

 私は「往生際が悪い三職種は医者と坊主と教師だ」とかねてから講演でお話ししてきました。織田さんは往生際が悪かったからこそ、余命宣告よりもずっと長く、最期まで明るく生きられました。欲望に忠実な、チャーミングなお坊さんでしたね。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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