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【ドクター和のニッポン臨終図巻】なかにし礼さん「痛くて眠れない。しかしそんなことはすべてどうでもいい」 人生苦しいのも痛いのも生きているから (2/2ページ)

 なかにしさんは、2年半後の2015年にがんがリンパ節に再発。気管支に密接していたため一刻を争うと言われ、外科手術を余儀なくされました。手術をしなければ数日内に呼吸停止もありうる、それならば手術に一か八か賭けてみようという覚悟をもって。そして、なかにしさんの心臓は耐えました。大手術から目覚めたときのことを、著書『生きるということ』(毎日新聞出版)にこう書いています。

 〈…痛くて眠れない。しかしそんなことはすべてどうでもいいのである。とにかく私は生きている。死ぬことを覚悟していたこの体がこうして生きていて痛いのだ苦しいのだと言っている。こんな幸せなことはないのではないか〉

 なかにしさんは、ここから見事5年も生きられました。そう、人生苦しいのも、痛いのも、生きているからなのです。死は日常。されど命は一度きり。本年も精いっぱい生きましょう。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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