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【ドクター和のニッポン臨終図巻】元ヤクルト・安田猛さん 余命1年程度と診断も…「がんに負けるか!笑って死んでやる」 (2/2ページ)

 1970年代にヤクルトのサウスポーとして活躍。78年には初優勝へ導きました。「ペンギン投法」と言われる独特の投げ方で、王貞治選手になかなか打たせなかったことから、「王キラー」と呼ばれるなど、昭和の名投手として記憶に残る安田猛さんが、2月20日に都内の自宅で亡くなりました。享年73。死因は胃がんとの発表です。

 安田さんがステージIVのスキルス性胃がんと診断されたのは、2017年のこと。ステージIVの胃がんには外科切除の適応はなく、やるとすれば抗がん剤です。このとき、余命1年程度と診断されたそうです。しかし安田さんは、絶望しなかった。

 「がんなんかに負けてたまるか! 笑って死んでやる」と周囲に話していたそうです。

 その宣告から2年後の19年7月。ヤクルト球団50周年記念のOB戦で、安田さんは神宮球場のマウンドに38年ぶりに立ちました。たった2球でしたが全力投球、往年のスワローズファンから喝采を浴びました。

 その後も安田さんは母校の小倉高校野球部をサポートするなど、大好きな野球と共に生きられた。「笑って死んでやる」。力強い言葉を残されました。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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