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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・瑳川哲朗さん ALS発病も平均寿命を超えて 素晴らしい美声はいつでも思い出せる (1/2ページ)

 私が原作と医療監修を手掛けた劇映画『痛くない死に方』及び、関連作品のドキュメンタリー映画『けったいな町医者』が全国にて公開中。本業に差し支えない範囲で舞台挨拶にお邪魔していますが、そこで医療従事者の方々から声をかけられるのがうれしいです。

 先日も名古屋の舞台挨拶の後、ALS患者さんの在宅療養支援に日々頑張っておられる看護師さん方とお話をする機会があり、大変心強く思いました。その数日後、この俳優さんの訃報を知りました。

 数々のドラマや映画、舞台で活躍、さらにショーン・コネリーやクリント・イーストウッドの吹替え声優などでも知られた瑳川哲朗さんが、2月17日に都内の高齢者施設で死去されました。享年84。死因は、ALSとの発表です。

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、筋肉に指令を出す運動神経細胞が何らかの理由によりダメージを受け、筋力が低下し身体が動かせなくなっていく難病です。我が国における患者数は約1万人で、年間1000~2000人が新たに診断されています。

 この連載でも過去に書かせていただきましたが、フランス文学者の篠沢秀夫さん(2017年没、享年84)や、佐伯チズさん(2020年没、享年76)も同じ病気でした。

 昨夏に起きた「京都ALS嘱託殺人事件」の影響で、この疾患に悲観的なイメージを持った人もいるかもしれませんが、一面的に捉えないでほしいと思います。

 私の患者さんにも、同じ病の人が数人おられます。なかには呼吸器を付けて充実した日々を送られている人も。20~30年前までは、ALSの人は発症から3~5年で亡くなるとされてきましたが、進行具合は人それぞれであり、医療の発達により、平均寿命を超え天寿を全うできる人も出てきています。

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