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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・瑳川哲朗さん ALS発病も平均寿命を超えて 素晴らしい美声はいつでも思い出せる (2/2ページ)

 進行とともに発声や手の動きが困難になって、コミュニケーションが取れなくなることが、この病気の辛いところです。精神的ショックを受けて、うつ状態になってしまう人もおられます。しかしここ10年あまりで、画期的な意思伝達装置が次々と生まれています。まばたきや頭の傾け方などの小さな動きをセンサーが拾って、言語化する装置や、脳の血流や皮膚の表面の電位を計測して意思を伝える機械が登場し活躍しています。

 ご本人を孤独にさせないために何ができるか? 我々医療従事者も必死に向き合っています。

 瑳川さんが、いつからALSを発病されていたのかは明らかにされていませんが、男性の平均寿命(81歳)を超えて生きられたことは、素晴らしいことです。最後は声が出なかったかもしれません。でも、彼の素晴らしい美声は、過去の幾多の出演作を見ることでいつでも思い出すことができるのです。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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