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【ドクター和のニッポン臨終図巻】体操選手・政治家、小野清子さん 子守しながら東京五輪で銅 (2/2ページ)

 クラスターが特に発生しやすい場所は、レストランでも劇場でもなく、病院と介護施設です。しかも、そこは感染リスクの高い、免疫力が下がっている高齢者が一番集まる場所。どんなに感染症対策を心掛けたとしても、防ぎようのない場所でもあります。また、認知症の患者さんもおられるため、患者さん全員にマスクを徹底するのもなかなか難しいのが現状です。

 小野さんのように自宅で転倒骨折する高齢者も増加しているなと感じています。コロナが怖くて出歩くことが激減したために、足腰が弱ってしまっているから。80代を過ぎて転倒骨折で入院し、寝たきりの状態が1カ月も続けば、認知症が一気に進んでしまいます。

 僕が今1番恐れているのが、コロナ禍の行き過ぎた自粛や転倒骨折から認知症に至る人が増えることです。ようやく暖かくなってきた今、たとえ1日10分でもいいのです。どうか、人の密集を避けながら散歩をしてください。歩いてお花見を楽しんでください。

 小野さんは、東京五輪の練習中に視察に来た国会議員に「今、何が一番欲しいか」と問われ、「子守をしてくれる人」と答えました。それから半世紀以上…ジェンダーの問題がいまだ山積の日本のオリンピックと政治に小野さんは何を想われ、旅立ったでしょうか。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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