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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・田中邦衛さん…“五郎さん”は私たちの記憶の中で生涯現役 (1/2ページ)

 『北の国から』の追悼放映を観ながら今、この原稿を書いています。北の大地に暮らす父と子の成長を長きにわたって描き続けたこのドラマ。多くの視聴者が、純と蛍の親戚のような気持ちで作品を見守っていたはずです。

 愛情深いゆえに口下手で不器用すぎる父親役の五郎さんの存在が、フィクションなのかノンフィクションなのか、視聴者が混乱するほどに全身全霊で演じられた俳優の田中邦衛さんが3月24日に亡くなられました。享年88。死因は、老衰との発表です。

 確かに、ここしばらくお見かけしなかったように思います。2010年に公開された映画『最後の忠臣蔵』が最後の出演作だったそうです。その後、マスコミの前に姿を見せたのは12年に亡くなられた俳優の地井武男さんの葬儀でのこと。「ちぃ兄、会いたいよ~」と少しおぼつかない弔辞を読んだ田中さんを、息子の純を演じた吉岡秀隆さんがそっと支えていたのが印象的でした。

 それからは、公の場に姿を見せることはなく、10年間静かに過ごされた後の米寿での旅立ちです。この間、どのような状態であったのか、いろいろな記事が書かれているようですが、10年の最後の映画出演の時点で、田中さんは喜寿の77歳。普通の企業勤めであれば、現場の最前線に立つことはまずありません。

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