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【罹患率1位 大腸がん予防最前線】脂質異常症治療薬「スタチン」にも予防の可能性 心筋梗塞や脳梗塞に加え“一石三鳥”の研究進行 (2/3ページ)

 心筋梗塞や脳梗塞、さらには、がんまで、“一石三鳥”ともいうべき予防の研究が進行している。

 「スタチンといっても、いろいろな種類の薬があります。大腸がんにより効果的な薬の選別を行っているところです」

 武藤教授が力を注ぐ既存薬から新たな作用を導き出す「既存薬再開発」(ドラッグリポジショニング)で、生活習慣病予防プラスがん予防が近い将来可能になるかもしれない。とはいえ、それは先の話。まずは、有効な治療法に乏しく、大腸がん発症リスクが高い家族性大腸腺腫症の治療薬の開発が先となる。

 「家族性大腸腺腫症の試験参加者数と服用期間を増やし、よりエビデンス(科学的根拠)を高めたい。それにより、家族性大腸腺腫症診療ガイドラインで低用量アスピリンが採用され、重症化予防の項目で保険収載されるのが念願です」

 大腸がんは、生活習慣病と関係する一方、遺伝的な要因もある。「大腸がんのリスク要因」(別項)はさまざまある。中でも食生活の乱れは、大腸の環境を変化させ、大腸がんリスクを高める。そこに関係してくるのが腸内細菌だ。あすは、大腸がんと腸内細菌との新たな関係について紹介する。 (取材・安達純子)

 ■武藤倫弘(むとう・みちひろ) 京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的予防医学・教授。1995年山口大学医学部卒。筑波大学附属病院、米国国立がん研究所客員研究員などを経て、2016年国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究部室長。20年2月から現職。専門はがん予防医学。アスピリンなど既存薬でのがん予防の研究も数多く行っている。

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