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【ドクター和のニッポン臨終図巻】バーテンダー・井山計一さん 「今日が大事」言葉に重み (2/2ページ)

 昨年のインタビューで終活について問われた際、「死ぬの、生きるの、僕は一切考えない。何より今日が大事」「最近は“終活”っていうのが流行らしいけど、僕には意味不明。そんな活動をしている暇があったら、面白い話を考えているほうが全然いい」と語られていたのが印象的でした。戦禍を生き延びた人だからこその重みがあります。

 今、まるで第三次世界大戦の様相を帯びてきたコロナパニック。病院に見捨てられた陽性患者さんたちを分刻みで往診しながら、今日という日を生き延びられたことが尊く感じられます。そして、「平穏死」や「終活」という概念が、いかに平和な社会に裏打ちされたものだったかを実感してもいます。

 嗚呼、早く平和な世の中に戻って、心おきなく酒が呑みたい。次にバーを訪れた時は、絶対に「雪国」を頼もうと決めました。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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