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【新書のきゅうしょ】終戦後ビルマで英軍捕虜となった日々の記録 会田雄次著「アーロン収容所」(中公新書、1962年) (1/2ページ)

 少壮の歴史学徒だった著者が太平洋戦争に徴収され終戦後ビルマで英軍捕虜として強制労働を送った日々の記録。自由を奪われトイレットペーパーの上に書き綴りこっそり持ち帰った日記や感想をもとにした。

 勝者と敗者に分かれての共同生活という極限状況の中、言葉もないのが次のような経験談。ある日著者は掃除のため英軍の部屋に入ろうとしたら、1人の女性兵士が全裸で鏡の前に立ち髪をすいていたのを見て驚いた。しかし彼女はドアの音に後ろをふりむいたが日本兵であることを知るとそのまま何事もなかったようにまた髪をときはじめた。相手が白人だったら彼女は金切り声をあげたろうが日本人だったので全く存在を無視したのだろうと描く。

 収容所生活は支給物資が乏しく、常に食糧難に悩まされた。著者は「実のところ、泥棒なしに捕虜生活は語れない」と明かす。作業の合間に缶詰を失敬して荷物の陰に置き、便所へ行く際に隠れて食べてくるなど序の口。ふんどしの中に袋を作ってミルク缶1個が入るようにしたり、図太い者はウイスキーのびんを両脇、背中、そして半ズボンの足にもそれぞれ2本ずつ入れぶらさげたまま検査場を通ろうとした。

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