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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】地中海に浮かぶ欧州で最も高貴な都市 マルタ共和国「ヴァレッタ市街」 (1/2ページ)

 マルタ共和国は、イタリア最南端シチリア島の南に位置する、地中海の真ん中に浮かぶ小さな島国ですが、この島はかつてマルタ騎士団国の拠点でした。マルタ騎士団国は、正式には「ロードス及びマルタにおけるエルサレムの聖ヨハネ病院独立騎士修道会」と称し、もとはエルサレムでの巡礼者の救護が任務でした。

 マルタ騎士団員は、病人や貧者に対する長年の顕著なボランティア実績を有し、法曹界、学界などの各方面で指導者と目される敬虔(けいけん)なカトリック教徒から選抜されます。通常の国家ではありませんが、現在はローマに本部があり、国際社会で多くの国と外交関係を持っています。

 世界遺産登録されたマルタ共和国の首都ヴァレッタは、1565年にイスラム勢力のオスマン帝国から、キリスト教圏の防衛に成功した当時のマルタ騎士団(聖ヨハネ騎士団)総長、ジャン・ド・ヴァレットにちなんで命名されました。騎士団による防衛のため、ヴァレッタの半島部分は50mの堀で本島と分断され、半島は完全に孤立化した要塞となっています。

 美しいバロック様式の家々や教会、城壁などが調和したこの城塞都市は、どこを歩いても絵になる街でしたが、特に私が感銘を受けたのは、水道橋と地下の水路および巨大な貯水槽です。街の道路や壁は、マルタ島の石灰岩が使われていますが、石灰岩は雨水が浸み込みやすいため、水を確保する必要があったのです。そのため、一般家庭の屋根にも雨水を溜めるような工夫がなされていました。

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