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【ぶらり、ぶんがく。本と歩く】コンプライアンスの時代を感じる案内板「暴力を肯定するものではありません」 尾崎紅葉『金色夜叉』貫一・お宮の像 (2/2ページ)

 まったく共感できないが、冷静さを失っての愚行は珍しくない。貫一は金に走って高利貸に転身。一方、嫁いだお宮も幸せになれず、いつまでも悔やんでいたりする。そんなすれ違いの物語は、新聞連載中から大人気になったそうだ。紅葉の死によって未完に終わったが、その後何度となく映像化。ついでに熱海も保養地として全国に知れ渡った。

 86年に建立されたという銅像の足元にいま、観光客向けに日英バイリンガルの案内板が追加されている。「決して暴力を肯定したり助長するものではありません」。コンプライアンスの時代だなぁ。近くの階段を上がるとビーチが一望できる。散歩するカップルたちを横目に、文庫本を開く。〈寄せては返す波の音も眠げに……〉 (阿蘇望)

 ■貫一・お宮の像 静岡県熱海市東海岸町

 ※被災された方々に心からお見舞い申し上げます

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