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【スポーツ医学から見た東京五輪】より速く、高く、強く…選手強化へシフト AI駆使、遺伝子の領域にまで発展 (1/3ページ)

 今から30年あまり前、私が大学でスポーツ医学の講義を始めたころ、この分野はまだマイナーでした。医者にとって選手を診ることは、一般の患者さんを診ることとあまり変わりがなかったのです。医学部に、将来スポーツ専門医を目指すという学生は数えるほどしかいませんでした。

 しかし、世界中でスポーツ熱が高まるにつれ、この分野の医療と研究が進んだのです。五輪で医療チームが選手団に帯同するようになったのは、1972年のミュンヘン大会からと言われます。最初は、選手の健康面、医療面からのサポートでしたが、メダル獲得競争が激化するにつれて様相が変わりました。

 スポーツ医学が、アスリートの運動能力の強化のために使われることになったのです。より速く、より高く、より強く、そのためにどうすべきか、医者と科学者が知恵を絞るようになりました。

 もともとスポーツ医学は、スポーツによる外傷、故障を治療することが中心でした。その後、予防医学の見地から多くの研究がなされ、生理学者、理学療養士、リバビリ医、運動トレーナーなど、各分野の専門家を巻き込んで、チームとして、選手と選手団をサポートするようになりました。いまはデジタル時代ですから、データサイエンティストなども参加し、AIも導入されています。

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