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【ぶらり、ぶんがく。本と歩く】外出できない人へ捧げる紀行文学 アマゾン川のハードな釣魚行 開高健『オーパ!』 茅ケ崎市開高健記念館 (2/2ページ)

 記念館の一番奥に、書斎が生前の様子のまま残されていた。座卓には真っ白な原稿用紙が広げられている。それを見て、小欄で取り上げる作品を決めた。

 〈何事であれ、ブラジルでは驚ろいたり感嘆したりするとき、「オーパ!」という〉

 紀行文学の名作『オーパ!』。アマゾン川へのハードな釣魚行を綴る。ピラニアの恐怖、怪物ピラルクー探索、黄金の魚ドラドとの格闘。血湧き肉躍る冒険要素もさることながら、人々の営みをしっかり観察し、決して他人事にはしない透徹した視点は、ルポルタージュのお手本だ。釣りをしない私も何度となく読み返している。直筆原稿版まで持っている。その序文が、これだ。

 〈何かの事情があって野外へ出られない人、海外へいけない人、鳥獣虫魚の話の好きな人、人間や議論に絶望した人、雨の日の釣師……すべて書斎にいるときの私に似た人たちのために。〉 (阿蘇望)

 ■茅ケ崎市開高健記念館 神奈川県茅ケ崎市東海岸南6の6の64

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