【マンション業界の秘密】悪徳理事長が好き放題にする管理組合 業者と癒着しカネを懐に入れる輩も - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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悪徳理事長が好き放題にする管理組合 業者と癒着しカネを懐に入れる輩も

 最近、続けざまにマンションの管理組合運営に関する相談が寄せられた。1つはいつもながらの腐敗構造。もう1つは、共有部分の老朽化によって生じた下水逆流を巡る補償問題だ。

 マンションの管理組合が一種の利権構造であることを多くの人は理解していない。それも規模が大きくなればなるほど利権は膨らむ。

 利権の中身は区分所有者から徴収する管理費や修繕積立金である。例えば、200戸規模の物件だと、年間約1億円が管理組合の口座に入ってくる。そのお金をどう使うかというのが利権になる。

 理事長やその取り巻きが業務委託先の管理会社と癒着するのはよくあること。癒着の中身も、飲食の接待を受ける程度ならかわいい。ありがちなのは理事長の息のかかった会社に、管理会社から業務を発注したことにして、カネを還流させるやり方。これだと、まず露見することがない。

 大規模修繕工事は悪徳理事長のボーナスステージになる。200戸のマンションだと工事費は約2億円。その5%を還流させただけでも1000万円を自分の懐に入れることができる。

 「そんなこと、あるにしてもごく一部の話だろう」と考える人が多いのではないか。だが、それは性善説的な考え方である。

 実のところ、マンションの管理について定められている区分所有法も性善説に基づいている。理事長は自らの物件の資産価値を毀損してまで自分のフトコロを肥やそうとはしないはず…という前提に立っている。悪徳理事長の登場はほとんど想定されていないため、現法制度の下で理事長になってしまえばやりたい放題。悪事を働いても簡単にはバレもしない。

 その悪徳理事長が管理組合の資産を巧妙にせしめている間、マンションの老朽化が止まってくれればまだましだが、残念ながら日々進行する。

 築40年を過ぎたあるマンションでは、汚水縦管に異物が混入したことによって、1階住戸のトイレに逆流現象が起きた。汚水縦管は共用部に属しているため、逆流した住戸の所有者に対する賠償責任は管理組合が負うことになる。

 こういう場合、管理組合の理事長など運営の責任を担う側の状況理解力や実務処理能力が弱いと紛争に発展しやすい。相談を受けたケースがまさにそれだった。

 誰が誰に賠償責任を負って、それにはどの保険を使うのが良いのか、テキパキと話を進めればいいだけのことだが、無能な人がこの役を演じるとオロオロして管理会社に相談することくらいしかできない。すると、管理会社は自社の利益に結び付く提案を出してくる。

 マンションの管理組合というのは、人間の集団である。欲に駆られて悪事に手を出す人間もいれば、無能な管理者が出現することもある。

 しかし、そんな事情に構わず建物は劣化していく。考えてみればかなり面倒な住形態である。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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