【マンション業界の秘密】「五輪中止」で「不運な場所」に…会場周辺のマンション所有者はそろそろ心の準備を - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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「五輪中止」で「不運な場所」に…会場周辺のマンション所有者はそろそろ心の準備を

 新型コロナウイルスは、どうやら日本国内では大きな厄災をもたらさないであろうと思える展開になってきた。感染者数も死亡者数も欧米に比べて2ケタ少ない。これは中国や韓国、台湾やベトナムでも同様。発表されている数字は、いずれも日本よりも低い。

 なぜアジアと欧米ではここまで違うのか、ということについては諸説紛々である。初期の頃は「BCG説」が有力に思えたが、最近の欧米では「ネアンデルタール説」というのがささやかれているそうだ。ネアンデルタール人の遺伝子割合が高いほど新型コロナには弱いのだとか。

 信憑性はさておき、欧米では日本にいるわれわれが実感できないレベルでコロナ禍が深刻なことだけは確かだ。

 日本人はこれを「対岸の火事」と眺めているだけでは済まない。さまざまな面で影響はあるが、とりわけ大きなことは東京五輪が開催できるか否か。菅氏が総理になってから「何としても開催」という動きになったと伝えられた。ただこれは日本だけの努力でどうにかなる問題ではない。コロナがどうなるのか、というのが開催の可否を決める最大の要因になる。

 ワクチンや特効薬ができ上がって広く行き渡ることが収束に向かうための一里塚であろう。しかし、日々報道されるニュースを見ている限り、まだ明るい見通しを抱けない。

 100年前に流行したスペイン風邪に対しては、ワクチンも特効薬もできなかったが、約2年で収束した。多分、多くの人が抗体を持ったことによるのではないか。

 そう考えると、今回のコロナもあと1年と少しで収束に向かう可能性が期待できる。しかし、それでは東京五輪には間に合わない。2021年の開催を22年に延ばすのか。そうなれば北京の冬季五輪と同時開催になってしまう。

 マンション業界にとっての気がかりは、湾岸エリアでの市場動向だ。選手村跡地の大規模マンションはどうなるのか。すでに約900戸の販売契約が終わったと伝えられた。しかし、いつ引き渡しになって住み始められるのかが、今のところ見えていない。

 競技会場が集まる江東区の有明周辺ではいくつものタワーマンションが販売されている。これも五輪が開催されるか中止になるかで、資産価値には大きな影響が生ずる。開催されれば「五輪の街」、中止されれば「不運な場所」となる。

 ただ、現時点の状況を見ている限り、悲観せざるを得ない。例えば「今から3カ月後の開催」であれば、確実に不可能だと断言できる。半年後の開催でも、かなり危うそうである。そして、現時点では「8カ月後の開催」ということになる。

 そろそろ悲観的なシナリオに対して心の準備を始めるべきではないか。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数

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