【マンション業界の秘密】新築へのこだわりが失敗要因となる理由 プロモーションに目がくらみ、選択肢が異様に狭まる - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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新築へのこだわりが失敗要因となる理由 プロモーションに目がくらみ、選択肢が異様に狭まる

 私は一般の消費者からマンション購入に関する相談を受けることも業務の1つとしている。多くの方が新築マンションの購入に悩んでいるようだ。いくつかの物件資料を持参されて「どれを買えばいいですか」とよく聞かれる。

 はっきり言って、複数の物件に資産価値評価の順位をつけることは簡単である。仲介業者の視点で、10年後にはどの物件が一番売りやすそうかを考えればいい。

 私は仲介業に勤しんだことはないが、多くのケースを見てきているので、並みの業者程度の判断はできる。また、どこの誰よりも多くの新築マンションの資産価値を評価してきたので、主だったデベロッパーの物件づくりのクセには通暁しているつもりだ。

 だから示された選択肢に順位をつけるのはわけないが、困るのは一番にした物件が必ずしも「買っていい」とはかぎらないことだ。ダメダメ物件をいくつか持ってこられて「どれを買うべきでしょう?」と相談されたときには、大いに困る。

 やんわりと「どれもそんなによくないですよ」とお伝えするのだが、相談者は落胆の気色になってしまうのを見るにつけ、心が痛む。

 そういう時に必ずたずねることがある。

 「新築にこだわっていますか。中古も探されましたか」

 大抵の方から「新築にこだわっているわけではありません。中古も探しましたが、いい物件が見つかりません」といった返事になる。不思議と、みな同じように答えるのだ。

 しかし、そういった方が2度目に持ってくる物件がこれまた、ほとんどが新築である。

 結局、“新品”にこだわっているのである。申しわけ程度に中古も探してみるが、本心はそうなのだ。

 気持ちはわかる。私も新築に住んだ経験があるが、どこか心が浮き立つ。新しいものは清らかで、古いものは…という神道の価値観も影響しているのかもしれない。

 ただ、マンションを購入する場合、新築にこだわると失敗する可能性が高くなる。その最大の理由は、新築は多大な広告費をかけているので、そのプロモーションに目がくらんでしまうからだ。

 新築にこだわると選択肢が異様に狭まる。販売中の物件から選ばなければならないからだ。さらに言えば、入居時期にも制限が生じやすい。売主側が一方的に指定しているケースもある。

 相談を受けて感じるのは、自ら選択肢を狭めている人が多いということ。「新築」や「〇〇エリア」と、本来こだわる必要のない条件を自ら設定して、その範囲から外には出られなくなっている。

 通勤の利便性や親の介護、あるいは子供の学校といった妥協できない条件があれば仕方がない。そうでない場合は柔軟に考えるべきである。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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