【マンション業界の秘密】新築物件の購入相談者に多い「買いたい病」 将来の資産価値を考慮すべき - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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新築物件の購入相談者に多い「買いたい病」 将来の資産価値を考慮すべき

 私は一般の方からのマンション購入相談を承っている。基本、辛口である。新築マンションが10物件あるとすると、「買ってもいいですよ」と言えるのは、1物件程度か、あるいはなかったりもする。

 相談者に対しては「買ってもいい」と私が考える理由を説明する。それで納得する人もいれば、そうでない人もいる。

 新築マンションを買おうとしている人は、すでにその物件を好きになっている場合が多い。ただ、一抹の不安があるので、私のような者にそれを払拭してほしいと思って相談を持ち込むのだ。

 その場合、私がマイナス材料を示すと彼らなりに反論してくる。私の示した見方がズレていると思いたいのである。

 対面で相談を受ける場合はそれなりに丁寧に説明できるので、最後には納得してもらえることが多い。しかし、メールの場合は果てしなく論争が続きそうになる。だからメールの相談は初回無料だが、2回目からは有料にしている。お金を払ってまでメールの論争を続けようという人はいないので、たいていは初回のみで終了する。

 そういったタイプの相談者は、私の考えを知りたいのではなく、自分の買いたいマンションが「買ってもいい物件」だと認めてほしいのである。

 「買いたい病」というものがあるとしたら、それにかかっているとも言える。この病は少々のことでは治癒しないため、私にしても諦めることが多い。

 「買ってもいい」かどうかを判断する基準はたった1つだけ。それは資産価値である。

 10年後、あるいは20年後にそのマンションを売却する場合、購入時の価格に比べて大きく値下がりしていそうな物件について「買ってもいい」とは言わない。

 私は、そのマンションを購入することで相談者が幸せな10年、20年を過ごせるかどうか…ということをある意味、想定していない。資産価値が下がるマンションであっても、そこに住んで幸せな年月を過ごすことは可能で、むしろ、売却に至らないのであれば、資産価値を気にしなくていい。

 しかし、人間とは基本的に欲深いもので、特に戸建てよりもマンションを購入しようとする人の傾向は、資産価値に敏感。なぜなら、いずれは売却することを前提にしているからだ。

 まとめると、20年以上住むつもりなら、あまり資産価値を気にせずに自分が住みたい物件を選んでいいと思う。逆に何年か先の売却を気にするなら、どれくらいで売れるのかは、絶対的な基準になる。どちらも取ろうとすると、ある程度、妥協しなくてはならないということを考えておいた方がいい。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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