【マンション業界の秘密】不動産屋の悪しき慣習 売却仲介で他社からの買い手紹介を拒否 自社で買い手を見つけて、両方から手数料を得る「囲い込み」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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不動産屋の悪しき慣習 売却仲介で他社からの買い手紹介を拒否 自社で買い手を見つけて、両方から手数料を得る「囲い込み」

 1~2カ月に1回程度の割合で不動産の売却無料相談会を開催している。さまざまな方が来るので、こちらとしても勉強になる。

 一般の方は不動産業者に対して、不信感を抱いていることもよく分かる。特に不動産仲介業の世界は微塵も進歩せず、いまだに「客をだまして儲けよう」を基本的スタンスにしている業者が少なくない。

 先日、相談会に来られた方は、都心エリアの割合いい場所に購入したマンションの売却について悩んでいた。この方は、すでに某社に売却仲介を依頼していた。相談は、その売り出し価格が適正なのか等を含んだ内容だった。

 私が見た限り、価格はやや高めの設定だったが、不可能と断言するほどのレベルでもなかった。問題は、その仲介業者が真面目に買い手を探しているかということである。

 相談者の売却物件は、国土交通省指定の流通機構であるレインズに登録されていた。そこまではルール通りである。

 私の相談会は提携する仲介業者の会議室を借り、ベテランの業者2人に立ち会ってもらっている。専門の立場からアドバイスをもらうためである。

 「じゃあ、例のことをやってみましょうか」

 ベテランの2人に、相談者が売却を依頼する仲介業者に電話を入れてもらうのである。

 「レインズに出ています御社ご専任の〇〇の〇〇という物件なんですが、お客さま(購入希望者)を案内したいのですが、大丈夫でしょうか」

 こんな具合に問い合わせてもらうのだ。その仲介業者がルール通り、すべての仲介業者からの買い手紹介を受け付けているのなら、「ぜひご案内ください」となる。

 しかし、その時の返答は「担当者がいないので分かりません」というものだった。「後で担当者からかけ直します」とか、「担当は○○というものなので、〇〇におかけ直しいただけますか」ではない。

 手っ取り早く言えば、他社からの買い手紹介を拒否しているようだった。実のところ、こういうケースがほとんどと言ってもいい。

 これは自社で買い手を見つけて、売りと買いの両方から仲介手数料を得るための「囲い込み」という行為である。両方から手数料を得ることは法には触れない。だが、「囲い込み」は法的には禁止されている。特に自社で多くの顧客を抱える業者ほど、この手法に積極的だ。

 囲い込まれて損をするのは、相談者のような売主さんである。そのことを丁寧に説明すると、相談者の顔色がみるみる変わった。

 少々業界的な説明だが、ただ囲い込まれているだけなら傷は深くはない。悪いケースだと、なかなか買い手が現れず、ズルズルと時間だけが過ぎ、結局、仲間の買い取り業者に安値で売らされる。

 残念ながら、日本の不動産仲介業の世界は、こういう現象が常態化し、改まっていない。

 「不動産屋にだまされる」という事象は、今でも現在進行形で、だから、注意してもしすぎることはない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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