【マンション業界の秘密】不動産バブル崩壊か…中国と日本の共通点と相違点 恒大経営危機「3つのレッドライン」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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不動産バブル崩壊か…中国と日本の共通点と相違点 恒大経営危機「3つのレッドライン」

 中国の不動産バブルが崩壊しようとしている。恒大集団という中国で2番目に大きな不動産会社が社債の利払いや理財商品の償還を滞らせているという。

 日本では振り出した手形が2回不渡りになると「倒産」とされる。社債の利払いも似たようなものだと思うのだが、こちらとはルールが違うらしい。恒大集団は目先の資金調達のために開発中のマンションを5割引で販売しているというような報道も目にする。

 中国ではこの恒大だけでなく、経営危機が取り沙汰される大手不動産の名前がいくつか上がっている。かの国の不動産バブルも終幕が近づいているのかもしれない。

 思い出されるのは、あの平成大バブルの崩壊である。1990年頃に頂点を極めた不動産バブルは、当局の総量規制や金融引き締めによって崩壊した。

 ただ、それによって目に見えるような結果が現れるまでには時間がかかった。山一証券や北海道拓殖銀行が経営破綻したのは97年。岸田文雄首相が一時在籍した日本長期信用銀行の経営が行き詰まって政府管理に移行したのは98年である。

 今回、中国の恒大集団に対して共産党政府は救済しないとみられている。総量規制ならぬ「3つのレッドライン」というルールを定めて、金融機関からの融資を制限した。債務総額は約33兆円と伝えられる。ただ事では済まない規模だ。

 90年代の日本は不良債権の存在が明らかであるにも関わらず、その処理に躊躇している間に問題が肥大化した。その結果「失われた20年」、あるいは「30年」と言われる長期間のデフレ不況を招いてしまった。

 中国はこの日本のバブル処理の失敗を詳細に研究していると伝えられてきた。しかし、彼らがここ20年の不動産バブルの膨張に対して何をしてきたのかということについてはかなり疑問だ。

 特に2008年のリーマン・ショック後、彼らはバブル崩壊を防ぐために4兆元(約69兆円)という資金を投入した。崩壊を回避するために、さらに膨らませたといっても過言ではない。1985年のプラザ合意の後、景気後退を防ぐために市場に過剰な流動性(現金)を供給した日本と似てもいる。

 その結果、中国経済の基幹産業は不動産になったと見なしていいだろう。平成大バブル当時も、不動産業界関係者は「日本の基幹産業は不動産業」とうそぶいていた。

 日本は平成大バブルの処理に約10年を費やして、慢性デフレの国になったが、中国はもう少し手早く処理するのではないか。

 理由は、彼らが一般債権者の保護や情報開示義務といった手続きを踏まなくていいためで、だいたいのことは上意下達でできてしまうからだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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