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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】浅間山の噴火が起こした欧州の「皆既月食」 天文学的には起きるはずのない日、長らく謎だった原因が明らかに (1/3ページ)

 長らくナゾの皆既月食だとされてきた月食がある。それは、欧州で西暦1110年に起きた。

 この月食はイングランド史を記した『ピーターバラ年代記』に書かれている。5月5日の晩、明るく輝いていた月が、にわかに陰りはじめて消えた。それどころか、ぼんやりながら見えるはずの月の輪郭や星の光が一切消えてしまったのだ。

 天文学的には、この日に月食は起きるはずがない。このため、アイスランドのヘクラ火山の大噴火によって大量の硫酸塩エアロゾルが噴き出して月の光をさえぎったのではないかというのがもっともらしい説明だった。またグリーンランドの氷河のボーリングから、それらしき硫酸塩エアロゾルが見つかっていた。

 たしかにヘクラ火山はこのころに大噴火したことが分かっている。ヘクラは同国南部にあり、同国で最も活発な火山だ。少なくとも16回の噴火が知られている。

 ところが、2015年に精密な「グリーンランド・アイスコア・クロノロジー2005」が発表された。氷河のボーリングで見つかった火山灰などの精密な年表である。

 これによれはヘクラ火山の噴火は4年から7年ほど後に起きたことがわかった。つまりヘクラ火山の噴火と「皆既月食」とを結びつけるのは、時間的に無理になった。

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