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「いい加減にしてくれ」金正恩印の贈り物に国民から散々な評価 (1/3ページ)

 意義深い光明星節を翌日に控えた日のことだった。あたりが夕闇に包まれるころ、娘の幼稚園の担任の先生が訪ねてきた。

 「チンギョンのお母さん、敬愛する金正恩元帥様が意義深い光明星節を迎えて、全国の学齢期前の子どもたちに贈り物として送ってくださったヒマワリ学用品です」

 私は贈り物のリストを開き、10種類にもなる品目を何度も噛みしめながら読んだ。子どもたちの心にピッタリの様々なきれいな色の72本もの鉛筆から、消しゴム、クレヨン、各種物差しなどと鉛筆削りに至るまで、何度撫でたかわからない。

 胸の奥から湧き上がる激情で、泉のように吹き出した熱い涙が、私の両頬を音もなく伝った。

 これは、北朝鮮の雑誌『青年文学』2020年第9号が掲載した、文学通信員(見習い作家)リ・ヘギョン氏のエッセー「恩返しの心」の一節だ。

 光明星節(2月16日の故金正日総書記の生誕記念日)の贈り物として、学用品のセットを受け取った母親が、国の経済が苦しい中でも、子どもへの愛を忘れない金正恩総書記の配慮に感動のあまりに涙を流し絶賛するという、ありきたりなプロパガンダだ。

 さて、咸鏡北道(ハムギョンブクト)では、実際に光明星節に子どもたちに贈り物が配られた。人々は本当に「泉のように吹き出した熱い涙」を流しているのか、現地のデイリーNK内部情報筋からの情報を見てみよう。

 会寧(フェリョン)市で、金正恩氏の名前で配られたのは鉛筆72本、消しゴム8個、クレヨン12色セット、水彩絵の具12色セット、水性ボールペン2本、油性ボールペン3本、物差し4本、鉛筆削り、筆箱、学用品箱それぞれ1個。

 一見、豪華バージョンのように思えるが、実際に受け取れたのは新学期に小学校に入学する子どもたちのみ。その正確な数は不明だが、会寧氏の人口15万人から考えると、多く見積もっても3桁だろう。また、質の良し悪しもわからない。

 その他の幼稚園児と小学生に配られたのは、キャンディ、スナック菓子、コメで作ったおこし2袋ずつ、合計6袋だけだった。例年なら中高生や成人にも配られる特別配給だが、今年はなかった。一時は質が向上したと評判だったお菓子セットだが、それさえまともに調達できないほど、経済難が深刻ということだろう。

 (参考記事:「不味い」と大不評だった金正恩印のお菓子セットが美味しくなった!

デイリーNKジャパン

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