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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】先史時代のウイルス研究始まる 「永久凍土」の融解から世界流行の恐れ (2/2ページ)

 地球温暖化が進んで、永久凍土が溶けはじめている。このために建物や道路や石油パイプラインの破損や土砂崩れなどを起こしている。昨年の5月にもロシア北部の都市ノリリスクで、永久凍土の融解で火力発電所の巨大な燃料タンクが倒壊。軽油2万1000トンが流出した。これは北極圏で史上最大の燃料流出事故になった。

 しかし永久凍土の融解はそれだけではすまない。細菌の研究はある程度進んでいるが、そのほかに動物の死骸に巣食ったウイルスの研究もしなくてはならない。これらの研究によってウイルスの流行がわかる。

 すでに、永久凍土に長年閉じ込められていた感染症が出てきている。2016年にロシア極北シベリアで炭疽(たんそ)が集団発生して、子供1人が死亡している。

 炭疽とは炭疽菌による急性感染症で、急性敗血症で死に至ることもある。ヒト以外にウシやウマ、ヒツジ、ヤギなど草食獣にも感染する怖い病気だ。炭疽は病気を起こすことが証明された最初の細菌でもある。

 第二次世界大戦以降、生物兵器として各国の軍事機関で研究され厳重に管理されている。だが軍事機関から流出し、2001年には米国で殺人に利用されたことがある。事件は郵送で行われ、5人が死亡、数十人が罹患(りかん)した。

 炭疽菌だけではない。永久凍土が溶けることによって、人類が知らない細菌やウイルスなどが解き放たれる恐れがある。

 いまの新型コロナウイルスよりもっと怖いウイルスが出てきて世界で流行するかもしれない。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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