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【高橋洋一 日本の解き方】米中露「三体問題」の探り合い 経済や軍事にらんで虚々実々…外交的な駆け引きが始まった (2/2ページ)

 米国は、主要7カ国(G7)および欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)との会談を通じて、同盟国による対中国包囲網では一致した。

 残る対露では、問題を当面棚上げするというのが、対中包囲網を成功させるためには必要な戦略だ。さらに米露が軍事力で協調して中国を押さえ込むのが最善手である。そして、時間をかけ、中国が非民主主義国の限界から、経済成長が鈍化する「中所得国の罠」にはまり、経済力で自滅していくのを待つのが理にかなった戦略になる。

 一方、ロシアとしては、中国と結託するか、米中の対立を静観し漁夫の利を狙うか、2つの戦略がある。ただし、ロシアも狡猾(こうかつ)なので、中国との蜜月を演じつつ、米中対立を静観という姿勢なので、今の段階でどちらの戦略かを悟られないようにしている。ロシアが米国の誘いに応じる形で首脳会談を行ったのは、米国の出方を探りたかったのではないか。

 こうした状況では、米国は、ロシアに漁夫の利狙いの戦略を取ってもらうように仕向けたいだろう。と同時に、ロシアにとって有利になるように、中国も米露と一緒に軍縮をやるという方向に進ませたいはずだ。

 今回の米露首脳会談は、具体的な成果を得るものではなく、今後の話し合いの可能性を確認し、両国の思惑にそれぞれ一歩進んだと評価できる。両首脳は、共同声明を発表し、「軍備管理とリスクを低減するための措置の基礎を築くことを目指す」とし、核軍縮条約「新START」が5年後に失効することを見据えて対話していくとしている。

 そのために、米露両国の関係悪化により自国に戻っていた双方の大使を帰任させることでも合意し、米露間で交渉できる舞台作りの第一歩になった。米露それぞれの国益を達成するために、外交的な駆け引きが行われている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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