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【ケント・ギルバート ニッポンの新常識】ワクチン開発の内情知らずに政権批判はナンセンス “契約”と呼べなかった海外製ワクチン供給 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの新規感染者数は、感染力の強い変異株(デルタ株)の影響もあり、全国で連日2万人を超えている。ただ、5月には死者数が1日200人を超える日もあったが、最近では20~30人程度で抑えられている。マスコミは重症者数や自宅療養者が増加していると、政権批判の材料にしている感が否めないが、「批判すべきは、そこではないだろう」と強く言いたい。

 緊急事態宣言は複数回発令されたことで、国民の行動を抑制する効果が薄れている。医療機関もこれ以上、病床を空けることができないのであれば、やはり現段階で効果が期待できるのはワクチンなのである。

 しかし、そのワクチン供給で、日本は遅れてきた現実がある。

 日本政府は1月段階で、米国のファイザー社やモデルナ社、英国のアストラゼネカ社のワクチンを、合計3億1400万回分確保していると発表していた。だが、これには「いつ」「どれだけ」出荷するという内容が盛り込まれておらず、契約と呼べるような代物ではなかったようだ。「医療従事者へのワクチン供給」のみが決まっていたともいわれる。

 これだけ中途半端な約束だったのは、「厚労省官僚が国産ワクチンの開発に期待を寄せていたから」という指摘がある。日本の開発が間に合わなかったときにだけ履行するという“契約”だったため、菅義偉首相が4月に訪米した際、具体的なワクチン確保ができたという。

 米国がワクチン開発に投じたのは約2兆円で、日本はわずか数百億円だった。ドナルド・トランプ前政権下では規制緩和も行われ、迅速に開発が進むよう制度設計も行われた。日本は行政の後押しが弱く、将来への大きなビジョンも描けなかった。両国には、雲泥の差があった。

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