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【八木秀次 突破する日本】「台湾は民主主義の最前線」岸田政権、日米同盟強化で対中強硬路線継承 経済再生は大平正芳元首相の国家ビジョンに学ぶ国民生活向上へ (2/3ページ)

 具体的には、先端科学技術の研究開発への大胆な投資、地方からデジタルの実装を進め、地方と都市の差を縮める「デジタル田園都市国家構想」、医師や看護師、保育士ら社会基盤を支える人々の所得向上などを進めるとする。

 「田園都市国家構想」とは、岸田首相の出身派閥「宏池会」の先達、大平元首相が提唱したものだ。大平氏は世間の評価とは異なり、明確な政治哲学を持った骨太の「本格的な保守主義者」(政治学者、香山健一氏)だった。2つの中心を必要とする「楕円(だえん)の哲学」を唱えたが、岸田首相のいう「成長と分配」も、日本経済の再生には2つの中心が必要ということだろう。岸田政権は「大平政治」をも継承している。

 大平氏は大きな国家ビジョンを持っていた。任期中に逝去したが、その構想は、宏池会の後継者である鈴木善幸氏の政権ではなく、その次の中曽根康弘政権に継承された。岸田氏にも中長期を見据えた明確な国家ビジョンを期待したい。

 岸田政権では、中国を念頭に戦略技術などの流出を防止する「経済安全保障」を打ち出し、担当大臣(=小林鷹之経済安全保障担当相)を置いた。また、総裁選の中で、ウイグルやチベットなどでの人権侵害を念頭に、人権問題担当の首相補佐官を設置する考えを表明している。

 岸田首相は、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、台湾について「権威主義の拡大と対峙(たいじ)する民主主義の最前線」とも語っている。自由主義国家との連携が強化される。菅義偉政権では検討されなかった「敵基地攻撃能力の確保」についても検討を進める。米国政府の期待も大きい。

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