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【高橋洋一 日本の解き方】本格始動する「経済安全保障」 軍事力使わない覇権争い、国家として当然な“スパイ防止法”制定が日本の第一歩 (1/2ページ)

 岸田文雄内閣では経済安全保障の大臣ポストが新設された。経済安全保障とはどういう考えで、具体的にどのようなことをするのだろうか。

 もともと「経済」と「安全保障」は異なる概念だ。しかし、経済というツールを使って戦争を行うという発想に立つと、違った見方ができる。

 今の米国と中国の覇権争いは、軍事的な措置なしで行われているという前提だ。経済安全保障とは、軍事の代わりに経済を武器とした覇権争いとみるのだ。米中の新冷戦では、実際に軍事力を行使するよりも、経済を武器として覇権争いをする公算が大きいので、経済安全保障は国際政治のキーワードになっている。

 典型例は、中国の「一帯一路」構想だ。これは、中国の経済圏を作るもので、中国が相手国に破格の条件で融資してインフラ投資を行い、中国の戦略拠点を経済圏に作っていく。融資がうまくいかない場合には、中国が戦略拠点を召し上げて事実上の中国領としてしまうので、中国にとって相手国への融資は進出の足がかりにすぎない。

 最近の米国の中国企業への締め付けも、米中が経済を武器にして覇権争いをしていると見ればスッキリする。

 日本では、経済と安全保障は別と思い込んでいる政治家や経営者が多いので、経済安全保障の観点から思わぬ余波に困惑しているようだ。例えば中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への米国の制裁の影響で、同社へ納品していた半導体メーカーなどは製品供給を停止せざるを得なくなった。

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