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【ロバート・ホワイティング サクラと星条旗】2つの「東京五輪」が描くコントラスト 「史上最高」と称賛された1964、人々を興奮させる要素に欠ける2020 (4/4ページ)

 最終的にすべてを決断する権利を有するIOCが五輪を決行した。テレビから入る莫大な放映権がからんでいたことは紛れもない事実だ。

 開会式は1万1000人のアスリート、特別ゲストが国立競技場に集まり、8500人の自衛隊員が警護に当たる。一方、都民はグループで集まらないよう警告され、適度なソーシャル・ディスタンスを保つよう言われている。

 開会式は当初、午後8時から3時間とされていたが、7月2日になって11時30分までとなった。

 「入場行進」でアスリートと各国の大会役員が、「プレーブック」に示されている通りに前後左右2メートルのフィジカルディスタンスを確保すると、どうしても3時間でおさまらなくなったのだという。いずれにせよ、これは政府が都民に自宅にいるよう要請している時間帯だ。

 最後に、1964年の東京五輪では各国リポーターが称賛の言葉を東京に浴びせたが、今回はそうはいかないかもしれない。

 組織委員会は海外からの報道関係者にスマホなどを持たせ、GPS機能を使って行動管理を行うと決定。期間中、一般人への取材も禁止した。

 数十人の米国のリポーターたちが抗議したが、武藤事務総長は、「報道の自由の侵害にはあたらない」とした。海外の記者が今回の東京五輪を「史上最高」と表現することはおそらくないだろう。

 それでも開幕前、散々な評判だったリオ五輪が成功したように、東京にも大きな成功をおさめる可能性が残されている、と思いたい。

 ■Robert Whiting 作家。米ニュージャージー州生まれ。『和をもって日本と成す』(1990年)で日本のプロ野球の助っ人外国人を描き、独特の日米文化比較論を展開した。この逆バージョンともいえる本コラム「サクラと星条旗」は2007年から好評連載中。