記事詳細

【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(24)~福井~ 県勢初Vと“100年目”に生まれた大記録 敦賀気比・松本の2打席連続満塁ダ~ン! (2/4ページ)

 この間に清原和博・桑田真澄(ともに大阪・PL学園)松井秀喜(石川・星稜)元木大介(大阪・上宮)ら往年の高校生スラッガーの名前が次々に飛び出してくる。私の脳裏にも甲子園にアーチをかけた“つわもの”どもの顔が浮かんだ。“その瞬間”を見てもいないのに過去の記録を遡(さかのぼ)っていくだけで興奮が沸き上がって来るから不思議だった。

 同時に、言葉ではうまく表せないが、残念に近いような得体(えたい)のしれない思いも込み上げてきていた。100年の歴史の中で先人たちが積み重ねてきた記録が「さらっと」塗り替えられてしまった…。

 ヒーロー松本は178センチ75キロとスラッとした体形だ。実は1打席目の満塁ホームランはバックネット裏で見ていた。1回の表の敦賀気比の攻撃は大阪桐蔭を相手に完璧だった。今大会好調の左腕・田中誠也(現・大阪ガス)に対してタイミングをしっかり取り強く打つ。いきなり1番サードで主将の篠原涼がライトにはじき返す。

 後続の選手たちも高めは積極的に振り低めのボールには手を出さない。全員が1つになって田中に向かう。四球も2つもぎ取る。それでも田中は、4番・エースの平沼翔太(現・西武)を三振に取るなど二死までこぎつけた。そして満塁で松本に打席が回ってきた。

 ここで得点が入るか否かで試合の流れは大きく変わる。この時のことを松本は私にこう話してくれた。

関連ニュース